遺書

無気力人生、言の葉、感受性

瘡蓋にならない傷

無意識に刺さったナイフの傷が開いたまま。

忘れられない刺さったナイフの傷も開いたまま。

開いた傷は瘡蓋にもならない。

その時の辛さ怖さ苦痛が埋め込まれる。

そうして浅い傷に誤魔化して、テープで補強するような、そんな感覚。

その隙に誰かが埋めた意識。他者か自分か。

「大切な人を困らせたくない、迷惑かけたくない、悲しませたくないのなら、この先『助けて』『限界』と叫んではいけません。」

 

人生、人並みのスタートが0だとすると、私のスタートはマイナスだと思った。ゼロに達したことなんかきっと無いのではないかと思った。

マイナスから始まる緩やかなナイフのついた滑り台が、見えない着地点に向かって滑り出す。痛い痛い、古い傷。

そうして約10年前から、急にナイフの大きさも量も増えて光も遠ざかりながら、滑り落ちた。そのうちナイフだらけの崖から落ちて、気づいたら真っ暗の底だった。

記憶を辿る。

罵声、怒鳴り声、痺れた両足、ガラスの割れる音、叫び声、奇声、荒れている机、孤独、監視、束縛、嫉妬、誤解、ピンクの剃刀、空き瓶、流血、ヒールの音、飲酒、洋楽と混ざった声、絶望、多量の輸入薬、金銭、初対面の人の裸、ピアノの音楽、両手両足多量の傷。苦しさ、辛さ、疲れた。お疲れ様。

 

終わっていなかった。

大切な人が悲しんでいる。

叫べばよかったのだろうか。

でもそれは意識に反する事になるのに。

「10年20年悲鳴もあげず苦しんだのなら、人並みになるまで同じくらいかかる。」

 

それまで生きていられるかな

本当は未だ早く消えてしまいたい